利用者さんが認知症の場合、主に3つのポイントを押さえて介護を行う必要がある。
まず、利用者さん本人のペースを大事にすることだ。介護側の都合ではなく利用者さん本人のペースに合わせることで、ストレスを感じさせずリラックスしてもらえるためである。認知症を患っていなくても、利用者さんは動きがゆっくりであることが多いが、決して急かしてはならない。もし利用者さんが待たせていることを気にして「ごめんなさいね」と謝ってこられた場合には、「気にせず、ご自分のペースで大丈夫ですよ」と言葉をかけることで、安心してもらえるだろう。
次に押さえておくべきポイントは、尊敬の気持ちを忘れず言葉がけをすることだ。
認知症が進行しても感情は保たれていることが多く、例え誤った言動をしていたとしてもその自覚がないことも多い。そのため、「駄目な人ね!」と頭ごなしに怒ったり、「なんでそんなことしたの!」と責めたり、「こんなこともできないの?」と自尊心を傷つけるような言葉は避けるべきである。しっかり目線を合わせて、誠実さと敬う気持ちが伝わるように言葉がけをすることが大切だ。
3つめのポイントは、分かりやすさを心掛けることである。
認知症になると、耳の聞き取る力が衰えることも多いため、はっきり話さないと聞き取れなくなってしまう。それではこちらの伝えたいことが伝わらないため、コミュニケーション不足になり信頼関係も築きにくい。「要点を手短に」「耳元でゆっくり」「はっきりと明るい声」これらの言葉がけができるよう意識すると良い。