言葉遣いやマナーが大切な介護の仕事が「サービス業」である理由

サービス業というと幅広い業界があり、介護業界もサービス業の一つという見方が広く定着している。
しかし、介護士側からみると「サービス業と言われることに違和感がある」という気持ちを持つ方も少なくない。サービス業というと、ホテルマンや飲食店と言った業種を思い浮かべるだろう。それに比べて3Kとも呼ばれる介護がサービス業と言われることが不思議だという人もいるようだ。

サービス業の概念を考えると、「〇〇してほしい」といった消費者側のニーズに答える仕事である。
広義で見れば、介護の仕事もサービス業になる。また、ホテルマンのようにおもてなしの心を持ち言葉遣いに注意を払いつつ接遇することも、介護士のマナーとして求められている。

しかし、介護は単純なサービス業ではない。
介護サービスの利用者さんが自分らしく老いることと、人生の最後の瞬間まで生きることをサポートする仕事である。看取りや介助などは、他の業種では行われていないことである。ましてや介護に当たる側は資格保有者も望まれる。資格職であることは、サービスを受ける側としても安心できる要素である。

サービス業といえば、華やかな場面でのホスピタリティが求められるが、介護は華やかな場面とは程遠いのが現状である。
どちらかといえば縁の下の力持ちのような存在だ。利用者さん自身の身体的な力を引き出すことや、ウェルビーイングを実感してもらうことが介護士の本質である。介護士自身に課された目的や使命を全うすることは、真のサービスにつながるだろう。これを踏まえて利用者さんと接していくと、さらに「サービス業であることの意味」がわかるのではないだろうか。